「病気ではないけれど、健康でもない」――シニア世代が知っておきたい、医療と健康の間の立ち回り方
「最近、歩くのが遅くなった気がする」
「膝が痛いけれど、病院に行くほどでもない」
「以前より疲れやすくなった」
「体重が増えて、外出するのが少し億劫になった」
シニア世代になると、こうした変化を感じることが増えてきます。
しかし、この段階では必ずしも「病気」とはいえません。病院で検査をしても、「特に問題ありません」「年齢の影響でしょう」と言われることもあります。
一方で、何もしなくてよいわけでもありません。
実はここに、現代の医療が苦手としている領域があります。
それが、「医療と健康の間」です。
「病気になってから考える」では遅いことがある
現代の医療は、基本的に病気になった人を診断し、治療する構造となっています。
例えば膝が痛くなれば整形外科へ行く。心臓に問題があれば循環器内科へ行く。脳卒中になれば治療を受け、必要に応じてリハビリテーションを受ける。
これは非常に重要な仕組みです。
しかし、シニア世代の身体機能低下は、必ずしも「病気」という形で突然現れるわけではありません。
少し歩かなくなる。
少し筋力が落ちる。
少し体重が増える。
少し外出が減る。
少し疲れやすくなる。
この「少し」が何年も積み重なった結果、転倒や骨折、入院、要介護状態につながることがあります。
つまり重要なのは、病気になった後だけではありません。
病気になる前や生活機能が大きく低下する前に、自分の身体の変化に気づくことです。
「健康診断で問題なし」は「何もしなくていい」という意味ではない
ここで注意したいのが、健康診断や病院の検査結果です。
検査で大きな異常がなければ、それはもちろん良いことです。
しかし、
「血液検査に問題がない」
「画像検査で大きな異常がない」
ことと、
「今後も元気に生活できる」
ことは同じではありません。
例えば、筋力が徐々に低下していても、一般的な健康診断では見つからないことがあります。
外出頻度が減っていても、病気として診断されるわけではありません。
だからこそシニア世代には、病気の有無だけではなく、「生活する力」がどう変化しているかを見る視点が必要になります。
見るべきなのは「身体」だけではない
では、何を見ればいいのでしょうか。
まず重要なのは、日常生活の変化です。
以前は普通にできていた、
- 階段の上り下り
- 買い物
- 散歩
- 掃除
- 趣味
- 旅行
- 友人との外出
などが、少しずつ面倒になっていないか。
そして、その変化を「歳だから仕方ない」と片付けないことです。
もちろん年齢による変化はあります。
しかし、「歳だから仕方ない」と考えて何もしないことと、「歳による変化を理解した上で対策すること」は全く違います。
重要なのは、老化を止めることではありません。
老化によって失われるものを、できるだけ小さくすることです。
「何を鍛えるか」より「何を続けたいか」
ここで運動を始める人も多いでしょう。しかし、ただ筋トレをすればいいわけではありません。
大切なのは、
「自分は何のために身体を維持したいのか」
を考えることです。
例えば、
「旅行に行きたい」
「釣りを続けたい」
「孫と遊びたい」
「自分で買い物に行きたい」
「できるだけ長く自宅で暮らしたい」
という目的があれば、それに必要な身体機能を考えることができます。
旅行を続けたいなら、長時間歩く能力や階段を上る能力が重要かもしれません。
買い物を続けたいなら、歩行能力だけでなく、荷物を持つ能力や持久力も必要です。
つまり、
健康のために運動するのではなく、これからの生活のために身体を整える。
この発想が大切です。
「病院に行くほどではない」は、放置する理由にならない
一方で、自己判断にも限界があります。
痛みが続く、急に身体機能が低下した、息切れが強くなった、転倒を繰り返す、体重が急激に変化したなどの場合には、単なる加齢として扱わず、まず医療機関に相談することが重要です。
その上で大きな病気が否定されたなら、次に考えるべきなのが、
「では、これからどう身体を管理していくか」
です。
ここは病院の治療とは少し違います。
ここでは一つの例をしめしましたが、治療をする病気が見つからなかったからこそ、その後の生活の中で、自分自身の身体を継続的に管理していく必要があります。
シニア世代に必要なのは「健康管理の主体になること」
これからの時代、医療にすべてを任せるという考え方だけでは限界があります。
医師は病気を診断し、必要な治療を行います。
リハビリテーションの専門職は、身体機能や生活機能について専門的に評価できます。
栄養の専門家は食事について助言できます。
しかし、最終的に毎日歩くのか、何を食べるのか、どのような生活をするのかを決めるのは自分自身です。
だからこそ、
「病気になったら病院へ行く」だけではなく、「病気にならないために、自分の身体の変化を把握する」
という姿勢が必要になります。
これからのシニア世代は「患者」だけではなく「自分の身体の管理者」になる
医療はこれからも重要です。
しかし、医療だけですべてを解決することはできません。
病気を治すことと、健康な生活を長く維持することは、同じではないからです。
これからのシニア世代に求められるのは、
病気になるまで待つことでも、健康情報をむやみに集めることでもありません。
自分の身体の変化を早めに把握し、
「今、何が落ちているのか」
「このままだと何ができなくなる可能性があるのか」
「自分は何を維持したいのか」
「そのために何をすればいいのか」
を考えることです。
そして必要なときには、医療やリハビリテーション、介護、運動、栄養など、それぞれの専門家を上手に使う事が重要になります。
しかし、現在の医療制度の中で、この病気ではない段階のシニアをサポートする仕組みは十分ではありません。
「まだ病気ではないから大丈夫」でも、「もう歳だから仕方ない」でもない。
その間を支えるのが私たちの提案したいサービスです
